専門医によるEDコラム

column

前立腺肥大(LUTS)を併発するED—タダラフィル毎日投与の考え方

ED(勃起不全)と前立腺肥大症(LUTS)は関係が深いって本当?

勃起のメカニズムと排尿のメカニズムの共通点

勃起と排尿は、どちらも血管平滑筋(へいかつきん)、そしてこれらをコントロールする神経系が密接に関わって機能しています。特に、ペニスの血管を広げたり、前立腺や膀胱の平滑筋を緩めたりする一連の仕組みに共通する部分があるのです。

年齢とともに増える前立腺肥大(LUTS)とEDの合併

一般的に、前立腺肥大症による前立腺肥大(LUTS)は50代以降の男性に多く見られます。そして、EDもまた年齢とともに有病率が上昇します。

  • 前立腺肥大(LUTS)のある方は、前立腺肥大(LUTS)がない方に比べてEDになるリスクが高いことが複数の研究で示されています。
  • 逆に、EDがある方は、排尿に関する悩み(頻尿、夜間頻尿、排尿困難など)を併発しているケースも少なくありません。

排尿のことで悩んでいると、性生活に対する自信の低下ストレスにつながり、それがEDをさらに悪化させるという悪循環に陥ることもあります。どちらか一方の治療に取り組むことで、もう一方の症状が緩和することも期待できるのです。

前立腺肥大(LUTS)とEDの両方の症状緩和を目指す治療薬「タダラフィル」

タダラフィルが前立腺肥大(LUTS)とEDに作用する仕組み

タダラフィルは、体内のPDE5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素の働きを抑えるお薬です。

  1. EDへの作用:
    PDE5を阻害することで、血管を広げる物質(一酸化窒素)の働きが強まり、ペニスへの血流が増加し、勃起をサポートします。
  2. 前立腺肥大(LUTS)への作用:
    同じくPDE5を阻害することで、前立腺や膀胱の平滑筋が緩み、尿道への圧迫が軽減されたり、膀胱の過敏さが抑えられたりして、排尿症状(頻尿、残尿感など)の緩和が期待されています。

タダラフィルは、このように共通の原因に働きかけることで、前立腺肥大(LUTS)とEDの双方の症状緩和を目指すことが可能です。

前立腺肥大(LUTS)を併発するEDに対する「タダラフィル毎日少量投与」

毎日投与のメリット

タダラフィルを毎日服用することで、お薬の成分が体内に安定して存在し、以下のメリットが期待されます。

  • 前立腺肥大(LUTS)(排尿症状)の継続的な緩和
    毎日服用することで、前立腺や膀胱への作用が持続し、頻尿や排尿困難といった前立腺肥大(LUTS)の症状の緩和が期待されます。
  • EDに対する心理的な自信
    性行為のタイミングに関係なく体内に有効成分があるため、性行為の計画性が不要となり、心理的なプレッシャーの軽減につながります。
  • 血管機能の改善への期待
    毎日、持続的に服用することで血管の機能改善に働きかけ、ED治療においては3か月以上継続することで、症状の基礎的な改善や心理的な自信の回復につながることが期待されています。

服用方法と注意点

  • 服用量: 前立腺肥大(LUTS)を伴うEDへの毎日投与では、通常2.5mgまたは5mgという少量を用います。
  • 服用時間: 毎日同じ時間に服用することが大切です。
  • 効果の発現:前立腺肥大(LUTS)の症状緩和が現れるまでには、数日から数週間かかることがあります。ED治療においても、継続的な服用によって徐々に症状の緩和を目指します。

タダラフィルの副作用と安全な服用について

主な副作用

一般的に、毎日投与で用いる少量の場合は、性行為の前に服用する方法よりも副作用は出にくい傾向にありますが、以下の症状が現れることがあります。

  • 頭痛、潮紅(顔のほてり)、消化不良
  • 筋肉痛、背部痛、鼻閉、発疹

重大な副作用と緊急時の対応

ごくまれに、以下の重篤な副作用が発生する可能性があります。

  • 視覚異常(非動脈炎性前部虚血性視神経症:NAION):急な視力低下、視野異常
  • 突発性難聴:急な聴力低下や耳鳴り
  • 持続勃起症(プリアピズム):勃起が4時間以上持続する状態

これらの症状が現れた場合は、すぐに服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

服用できない方(禁忌)

タダラフィルは、以下の薬剤を使用している方は服用できません

  • 硝酸薬(ニトログリセリン、亜硝酸アミルなど):急激な血圧低下を招く危険があるため。
  • リオシグアト(肺高血圧症治療薬)
  • 特定の不整脈の薬:特に、クラスIA群(例:キニジン、プロカインアミド)やクラスIII群(例:アミオダロン、ソタロール)の抗不整脈薬の一部を使用している方は、服用前に必ず医師にご相談ください。

専門医への相談の重要性

EDや前立腺肥大(LUTS)の治療を始める前には、必ず泌尿器科の専門医にご相談ください。

  • 持病現在服用しているすべてのお薬について、医師に正確に伝えることが安全な治療の第一歩です。
  • 患者さんの健康状態や生活スタイルに合わせて、適切な治療方法をご提案いたします。

治療にかかる費用について

ED治療は自由診療(保険適用外)となります。タダラフィルを投与する場合の費用や、その他のED治療薬の費用については、下記のページでご確認いただけます。

まとめ—EDと前立腺肥大(LUTS)の症状緩和を目指して

EDと前立腺肥大(LUTS)を両方抱えていると、生活の質(QOL)は大きく低下してしまいます。

  • 排尿の悩み(前立腺肥大)
  • 性機能の悩み(ED)

これらは切り離して考えるのではなく、共通の病態として捉え、タダラフィル毎日投与という治療選択肢によって症状の緩和を目指すことが可能です。

「もう年だから仕方ない」と諦めずに、ぜひ一度、当院にご相談ください。生活の質の改善に向けたお手伝いをいたします。